霊園における使用規定は厳守するブログ:23-04-08
国際結婚すると告げたミーに
「聞きたくない…」と
お父さんは予想通りの反応をした。
ミーも反発して
別に祝って貰わなくて結構だと言い放った。
お父さんは野球が好きで地元の少年野球団の監督をしており、
自らも草野球チームのエース。
一方、ミーは大のトレーニング嫌い、
お父さんの期待を踏みにじり、
買って貰ったグローブを、雨の中外に置き去りにした事もある。
ミーとは対象的に、弟はスポーツ少年に育った。
ミーはお父さんが弟ばかり気にかけていると感じ、
大学で一人暮らしを始めるまで、お父さんの前で素直になれなかった。
大学時代、ミーは世界中を放浪して過ごした。
そんなミーをずっと心配してくれたのはお母さんだった。
お父さんには黙って旅に出ていたが、
お母さんはお父さんに全て話していたらしい。
その後、ミーが商社に内定した時、
お父さんはミーを行きつけの居酒屋に連れていった。
会話は少なかったが、
常連客から「息子さんと飲めるなんて幸せだね」と囃されて
お父さんは嬉しそうにしていた。
徐々に解れた親子の糸は、
ミーが大学時代に出会ったチェコの女性と
結婚すると決めたことで再び縺れてしまった。
お母さんや弟、婚約者のためにも
お父さんとの関係を修復しなければならない。
一週間ほど前、ミーは実家に出向いて
お父さんをキャッチボールに誘った。
ミーの投げる球は
お父さんの所まで届くのに精一杯だったが、
お父さんの球はミーの胸元まで真っ直ぐ飛んできて
その度に手のひらがビリビリと痺れた。
最初にくちを開いたのは父だった。
「お前のやりたいようにやれ。お前より年上の人間なんて先に死んじまうんだから、
周りの理解など求めんでいい」
ミーが返事をするより先に弟が来て
「仲良しじゃん」と嬉しそうに言ってきた。
ミーはボールを投げ返しながら
「親子だからな」と言ってみた。