品質が良く美しい国産の石


品質が良く美しい国産の石ブログ:20-12-27


「背中を洗ってくれないか」
と、父親に言われた。
この父親というのは、実は嫁の父親である。

ミーは一瞬戸惑ったが、
「え?!あっ!はいっ」
と言いながらタオルを構え、父親の背中にあてがった。

初めて父親の背中というものに触れた。
なんか丸っこくて大きくて、何だかゴツゴツしている。

上手に洗ってあげようと思えば思うほどうまくいかない。
タオルがねじれてしまう…

今度は父親がミーの背中を洗ってくれるらしい。
ミーは静かに父親に背を向ける。

父親は、なんていうか、力加減を知らない。
すごく力強くて、体についている必要なものまで
洗い流されてしまいそうな感じ。

思わずミーは、身をよじってしまった。
「すまん」父親は申し訳なさそうに、
「ムスコの背中を洗うのは難しいな」と言った…

ミーは物心のついたころから、
女手ひとつで育てられてきた。

我が家に父親がいないことを悲しがらなかったのは、
お母さんの育てかたが上手だったからだと思う。
溢れんばかりの愛を注いでくれたので、
ミーはとても幸せだった。

とは言え
父親のことを思わなかった訳ではない。

ただ、そのときミーがイメージするものは
どれも好感の持てないものばかりだった。

無口!ガンコ!厳しい!
正直、「父親は怖い」という印象しかなかった。

そんなミーに父ができたのは、
ミーが結婚をしたからだ。

嫁の父親は、ミーにとって不思議な存在だった。
格好なんてつけない。不器用だけどまっすぐ。褒められると照れ隠しする。
大きなお世話なことばかりする…

ミーは、父親というものに対する印象が
まるっきり変わった。